始まりやねずみ講と言われる理由となったきっかけが知りたい。
そう思ったことはありませんか?
そこでこの記事では、ネットワークビジネスがどうやって生まれ、日本国内外でどのように広がっていったのかを、わかりやすく解説します。
「なんでこんな仕組みができたの?」という疑問がスッキリ解消されるだけでなく、現在のビジネスがどれほど進化しているかも理解できますよ。
ネットワークビジネスの歴史を知って、もっと前向きにチャレンジできるヒントが見つけてましょう!
この記事で分かるポイント
- ネットワークビジネスの誕生から発展までの歴史
- 日本におけるネットワークビジネスの歴史
- ネットワークビジネスに悪いイメージがついた経緯
ネットワークビジネス(MLM)の歴史を考察
さて、ネットワークビジネス(MLM)はいつ、どのように誕生したのでしょうか?
世界で初めてネットワークビジネスを展開したのは、アメリカ・カリフォルニア州のカリフォルニア・ビタミン社とされています。
和暦だと昭和9年なので、ネットワークビジネスはかなり古く「歴史のあるビジネス」ということになります。
ネットワークビジネス(MLM)誕生の背景
カリフォルニア・ビタミン社の創業者は、カール・レンボーグ氏といいます。
カール氏は長い間栄養に関することに目を向け、北米で初めての栄養補給食品、いわゆるサプリメントを開発。
それを製品化し、カリフォルニア・ビタミン社での販売をスタートさせました。
しかし、当時のアメリカではまだ栄養に関する知識がなく、人々の関心度が低かったため、思うような成果を出すことが出来なかったそうです。
また、1934年当時の駆け出しのカリフォルニア・ビタミン社には、広大なアメリカの大地で展開できるほどの費用、手法もありませんでした。
人件費や労力のかかる訪問販売に限界を感じたカール氏は、自社製品を愛用してくれる消費者に販売する権利と、新たな販売員を募集する権利を与えました。
「いい製品は沢山の人にも知ってもらいたい」
そんな人々の素直な気持ちに目を向けたのです。
また、広告等の宣伝をせず、浮いた費用を製品を広めてくれた販売員への「販売手数料として報酬を支払うシステム」も取り入れました。
これがネットワークビジネス(MLM)の起源となっています。
ネットワークビジネスの黎明期
カリフォルニア・ビタミン社が生み出した、ネットワークビジネスのシステムは見事的中しました。
そして、同様の手法を取り入れる会社が次々と出てくるようになったのです。
洗剤などを取り扱うスワイプ(現ネイチャーケア)などもこの時期に誕生しており、1940年前後がネットワークビジネスの黎明期と言われています。
その他にも多くの会社がネットワークビジネスの手法を取り入れ、1960年ごろにはアメリカ国内で事業者数が約200社を超えるまでに普及していきます。
ネットワークビジネスはアメリカ国内のみならず、カナダやヨーロッパなどにも拡大していき、徐々に人々の生活に浸透していくこととなります。
ネットワークビジネス界で世界No.1企業アムウェイが誕生する
ネットワークビジネスを生み出したカリフォルニア・ビタミン社はその後、1939年にニュートリライト・プロダクツと社名を変更します。
このニュートリライトとは、ネットワークビジネスの売上が世界でトップのマンモス企業「アムウェイ」の看板商品、サプリメントシリーズの総称がニュートリライトです。
実は、ニュートリライト・プロダクツ社は1972年にアムウェイに買収され、その名を残したままアムウェイで販売され、今も昔も変わらず多くの人に愛される製品となっています。
ニュートリライト・プロダクツ社を買収したアムウェイですが、創業は1959年になります。
アムウェイの創業者たちは元々ニュートリライト・プロダクツ社で製品を広めていましたが、紆余曲折あり自分たちの会社を創業するに至ります。
創業後は洗剤など製品を口コミの手法を用いて広めていき、どんどん業績を上げていきます。
そして、製品は素晴らしいものの業績が落ち込んでいたニュートリライト・プロダクツ社を買収したアムウェイは、瞬く間にネットワークビジネス業界売上No.1にまで上り詰めました。
ネットワークビジネス(MLM)の起源はカリフォルニア・ビタミン社(ニュートリライト・プロダクツ社)ですが、ネットワークビジネスの歴史を作り上げたのはアムウェイです。
負の歴史を乗り越え大躍進へ!!
少しずつ歩みを進めていくネットワークビジネス事業ですが、その道のりは順風満帆なものばかりではありませんでした。
市場が成長をしていく一方で、なかには悪質な商法を実施する会社も見られるようになり、社会問題となっていきます。
悪質商法を展開していた代表的な会社の一つに、ホリディマジックが挙げられます。
ホリディマジックは商品を販売しなくても、販売員を勧誘することで報酬を得ることができるシステムを運用していました。
商品の流通が無く、お金だけが組織の中で回っていくピラミッド商法、いわゆる「ねずみ講」です。
このような悪質な会社が後を絶たず横行していたことから、1973年以降に連邦取引委員会はそれらの会社を次々と摘発していきました。
ホリディマジックも業務停止命令の処分が下されることとなります。
ネットワークビジネス企業も摘発の対象となり、業界の代表格であるアムウェイも連邦取引委員会の目に留まり、調査の対象となります。
連邦取引委員会の調査の結果は「アムウェイのセールス・マーケティング・システムは、ピラミッド・システムの持つ本質的な特徴を含んでおらず、したがってそれは本質的に偽りで人を騙すようなものではない」との審決が下されました。
それまでは、アメリカ市場においても「ネットワークビジネスは胡散臭い」「怪しい」というイメージがありましたが、この連邦取引委員会のアムウェイに対する審決により、ネットワークビジネス(MLM)の存在が多くの人に認められることになりました。
この出来事をきっかけに、ネットワークビジネス事業は大躍進。
1980年代にはアメリカ国内でネットワークビジネス業界へ参入する企業が、約2,000社にまで拡大しました。
困難を乗り越えマイナスイメージを払拭したことで、一気にネットワークビジネスの時代が訪れることとなりました。
日本におけるネットワークビジネス(MLM)の歴史
日本におけるネットワークビジネス(MLM)の歴史は、どのような歩み方をしてきたのでしょうか?
日本国内で初めてネットワークビジネス事業を展開したのは、今も業界上位に位置するアメリカ創業のタッパーウェア社です。
タッパーウェア社は1946年にアメリカで創業したのち、1963年に日本へ上陸します。
当時は現在とは異なり、ホームパーティ形式での訪問販売形式を用いていたそうです。
ですが、販売員から販売員を募り商品を流通させていく「口コミ」での販売方法はまさしくネットワークビジネスの手法であり、日本におけるネットワークビジネスの第一歩が踏み出されました。
国内企業としては、中井貴一さんのCMでおなじみミキプルーンの三基商事が1966年に創業、ネットワークビジネスとして事業展開をスタートさたという歴史があります。
日本でも悪徳商法やねずみ講による被害が問題になった
一方で、日本国内においてもアメリカ同様、ネットワークビジネス事業を模倣した悪徳商法を実施する企業も現れるようになりました。
1970年代初め頃には、先ほど紹介したホリディマジックをはじめ、APOジャパン、ベストライン、ジャッカーチェーンなどの外資が日本へ上陸します。
高額な登録料やスポンサー紹介料、在庫の大量買い込み、粗悪品の取り扱いなど、製品の流通ではなく人員の拡大での金銭獲得に主眼をおいたマネーゲームの様相を呈していました。
当時の日本ではまだネットワークビジネスが広く普及していなかったため、ピラミッド商法とネットワークビジネスとの区別について、人々の認識はないに等しかったと思われます。
悪徳な外資が日本上陸を果たしていた同時期は、日本においても「天下一家の会」などのねずみ講が横行している時代でもあり、多くの人々が多大な損害を負い、社会問題となっていました。
日本においてこれからネットワークビジネスの歩みが始まるであろうこの時代に、ピラミッド商法、ねずみ講の悪徳商法はまさにそのタイミングを見計らっていたかのように日本市場を食い物にしていきました。
そのため、日本においては『ネットワークビジネス(マルチ商法)=ねずみ講』というイメージが強く印象つけられてしまいました。
法律による整備が始まる
社会問題とまで発展した、ピラミッド商法やねずみ講による悪徳商法に対し、ついに国会で法律の整備がされます。
1976年に訪問販売と通信販売も含む無店舗販売を取り締まる「訪問販売等に関する法律」が制定されます。
※この法律はその後も改正を繰り返し、2001年には「特定商取引に関する法律」に改称されました
この法律において、ネットワークビジネスは「連鎖販売取引」として規定されます。
1979年には「無限連鎖講等を防止する法律」が制定され、ネットワークビジネスとねずみ講やピラミッド商法とが正しく区別され、悪徳企業は徐々に消えていきます。
アムウェイ参入、国内企業の誕生
法律が整備されたことにより、ようやく日本におけるネットワークビジネスの成長が始まります。
1975年には日本シャクリーが、そして1979年には日本アムウェイがそれぞれ日本法人を設立し、日本でのネットワークビジネス事業を開始することとなります。
代表例として、山之内製薬、カネボウ、イオングループ、ダイエー、ソニー、ノエビアなど国内大手企業がネットワークビジネス事業に参入することになります。
1990年代になると、ニュースキンジャパンやハーバライフオブジャパンなど、大手外資が日本でのネットワークビジネス事業を開始します。
国内企業においてはナチュラリープラス社が「バイナリー」の報酬プランを適用、今では多くの企業が取り入れる報酬プランが誕生しました。
その後も外資、国内企業含め多くの会社が日本国内でネットワークビジネス事業を展開し、現在では日本国内だけでも数千社のネットワークビジネス企業があると言われています。
同時に、強引な勧誘を行う一部ディストリビューター(紹介者・勧誘者)による被害、悪徳マルチ商法による被害等が横行しているのもまた事実です。
「ネットワークビジネスは怪しい、危ない、ねずみ講と一緒」
そのようなイメージは、今現在も拭いきれていないのかもしれません。
ネットワークビジネスの歴史は長いけどイメージは悪いまま
ネットワークビジネス(MLM)の歴史を探り、なぜねずみ講と混同されているのか、ネガティブなイメージを抱いている人がいるのか、その理由の一端を知ることが出来ました。
ネットワークビジネスは、アメリカをはじめとした世界の国々で当たり前のビジネスとして普及していますが、日本ではネガティブなイメージが強いままです。
これらイメージを改善していくためには、今現在ネットワークビジネスに携わる人たちが、正しく健全な活動を心がけることが一番の近道ではないかと思います。
また、問題となる勧誘方法は強引な勧誘によるものが大半です。
しかし、今の時代ではインターネットやSNSが広く普及している時代。
これまでの手法を見直し、現在の人々の状況に適している展開方法、ビジネスモデルであれば、業界のイメージ改善に繋がるかもしれません。
新時代のネットワークビジネスのやり方で、より良いイメージに変えていければいいですね。