でも、同じ時期に始めた発信者が在庫を抱えて苦しんでいるのを見ると、踏み切れない…。
そんなふうに、自分のブランドを持ちたい気持ちと、在庫への怖さの間で迷っていませんか?
「インフルエンサーのブランド立ち上げ、最初にいくら出ていく…?」
「何個売れれば、元が取れるんだろう…?」
「在庫を抱えずに始める方法はないのかな…」
この記事では、インフルエンサーがブランドを立ち上げるときのお金の流れ、膨らみやすい費用、何個売れれば元が取れるかの計算、在庫と失敗のリスクを抑える方法、在庫を持たない柱との比べ方までをまとめました。
今回は、数字の側から順に並べていきますね。
今回は、インフルエンサーのブランド立ち上げを、お金が出ていく順番に沿って、どこで重くなりやすいかを見ていきます。
この記事を最後まで読めば、自分が始めるなら、どの形で、どれくらいの数から始めればいいかが判断できるはずです。
この記事で分かるポイント
- ブランド立ち上げでお金が出ていく順番
- 膨らみやすい4つの費用と、元が取れる数の計算
- 予約販売や小ロット、コラボで在庫を抑える方法
- 自社ブランドと在庫を持たない柱の比べ方
インフルエンサーのブランド立ち上げは在庫が残るかを先に見る

ブランドを考えるとき、多くの人が最初に気にするのは「売れるかどうか」です。
けれど、実際に苦しくなる場面の多くは、売れなかったことより、売れ残った在庫とお金の行き違いから生まれます。
立ち上げの流れとお金が出ていく順番
自分のブランドの商品を作るときは、たいてい、作るのを請け負ってくれるメーカー(OEMメーカー)に頼みます。
工場を持たずにOEMで作り、自分の発信やサイトで直接売る形は、D2C(メーカー直販)とも呼ばれます。
流れを並べると、お金が出ていくのは前半、入ってくるのは後半に偏っているのが分かるでしょう。
- 企画:どんな商品を、いくらで、誰に売るかを決める
- OEMメーカー探しと試作:サンプルを作り、何度か直す
- 発注:最低ロットの数を決めて、製造の代金を払う
- パッケージ・撮影・販売サイトの準備
- 発売:ここで初めて、売上が入り始める
- 保管・発送・リピートの注文への対応
3つ目の発注の時点で、まとまったお金が先に出ていきます。

化粧品のように許可が必要な商品では、許可を持つOEMメーカーが製造販売元になり、自分は発売元として名前を出す形が一般的です。
自社のコスメを自分で紹介する投稿はそのまま広告として扱われ、言える効能の範囲も決まっているので、案件のとき以上に言葉選びに気を配ることになるでしょう。
初回の売上はファンの応援で読みを誤りやすい
発売直後は、応援してくれるファンがまとめて買ってくれるので、売上が大きく出やすい時期です。
ところが、その勢いは長くは続きません。
本当に見るべきなのは、2回目、3回目と買ってくれる人がどれくらいいるか、つまりリピートの数です。
売れるまでの間、払ったお金は商品の形のまま、手元で止まっています。
初回の手応えと、続く手応えは、別の物差しで見ておきたいところですね。
インフルエンサーのブランド立ち上げで膨らみやすい4つのお金
次に、立ち上げで出ていくお金を、中身ごとに分けてみます。
製造の代金だけを見ていると、ほかの費用が後から積み上がって、思っていたより大きな額になりがちです。
| お金 | 中身 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| ①開発・試作 | サンプルの作成と修正 | 直す回数が増えるほど、時間も費用も延びる |
| ②製造 | 原価×最低ロットの数 | 売れる前に、まとめて払う |
| ③見せ方 | パッケージ・デザイン・撮影 | 商品と別に、最初にまとまって出ていく |
| ④売る・届ける | 販売サイトの手数料・保管・送料・梱包 | 1個売れるごとに、毎回差し引かれる |
OEMの最低ロットと原価で在庫の重さが決まる
在庫の重さを決めるのは、②製造の「原価×最低ロット」です。
最低ロットとは、メーカーが一度に作ってくれる最小の数のこと。
数を多くすれば1個あたりの原価は下がりますが、そのぶん、売れ残ったときに抱える量も増えます。
1個売れるごとに、販売サイトの手数料380円と送料・梱包600円が引かれるので、手元に残るのは2,820円。150万円を取り戻すには、約532個、つまり作った数の半分以上を売る必要があります。
500個売れても、まだ約9万円の赤字で、残りの500個が在庫として残る計算です。
反対に、1,000個を売り切れば手元に残るのは282万円。150万円を引くと、132万円が利益になります。2回目の発注で、試作・デザイン・撮影の30万円がかからなければ、同じ1,000個で残るのは162万円です。
「半分売れたら成功」と感じやすい数字でも、実際はまだ元が取れていない、ということも起こりえます。
532個が多いか少ないかは、これまでの実績と並べると見えてきます。
アフィリエイトやPRで、1回の紹介から何件の購入が出ていたか。その数で532個に届くまで、紹介が何回要るかを数えてみる、という見方ですね。
- 容器や箱、説明書きの印刷まで含んだ金額か
- メーカーから倉庫や自宅までの送料が入っているか
- 2回目以降の発注でも、同じ原価と最低ロットで作れるか
- 売値と原価が、税込と税抜のどちらで書かれているか
見積もりの「原価」に何が入っているかで、元が取れる数は大きく変わります。
売れ残りと保管の費用が利益を削っていく
売れ残った在庫は、置いておくだけでもお金がかかります。
- 倉庫の保管料が、売れるまで毎月かかる
- 化粧品は製造から日が経つほど、食品は期限が近づくほど、売り先から嫌がられやすくなる
- 値下げで売り切ろうとすると、ブランドの値段の印象が崩れる
とくに3つ目は、発信者のブランドならではの痛みです。
大きく値下げをすれば、定価で買ってくれたファンほど、がっかりすることになるでしょう。
百万円単位のお金が先に出ていく話なら、なおさら数字で確かめてから決めたいところです。
ただ、自分の数字を入れて同じ計算をしておくだけで、ロットの決め方はかなり変わると思います。
インフルエンサーのブランドで在庫と失敗のリスクを抑える方法

ここまで見ると、ブランドは怖い出口に見えるかもしれません。
ただ、在庫と失敗のリスクは、始め方しだいでかなり小さくできます。
予約販売や受注生産で作る前に売る
いちばん効くのは、作る前に売る形にすることです。
- 予約販売:先に注文を集め、集まった数をもとに作る
- 受注生産:注文が入ってから作る(1個ずつ作れる商品に限られる)
- クラウドファンディング:支援を集めて、その資金で作る
どれも、売れる数が先に分かるので、在庫の読み違いが起きにくくなります。
ただし、予約が最低ロットに届かなければ、足りない分は在庫として残ります。化粧品のようにまとめて作るしかない商品は、小ロットのOEMと組み合わせて考えるのが現実的でしょう。
弱点は、届くまでファンを待たせること。
予定より遅れると、待たせた分だけ不満も大きくなるので、届く時期は余裕を持って伝えておくほうが安全でしょう。
あわせて、「予約がこの数に届かなければ作らない」という線も、募集の前に決めておくと安心です。
小ロットのOEMや企業とのコラボから始める
作る前に売るのが難しい商品なら、最初の数を小さくする手があります。
※スマホ画面で横スクロールできます
| 始め方 | 在庫のリスク | 取り分 | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 自社ブランド(通常ロット) | 大きい | 大きい | 売れ残りをすべて自分で抱える |
| 小ロットのOEM | 小さめ | 中くらい | 1個あたりの原価が上がる |
| 企業とのコラボ商品 | ほぼない | 小さい | 中身や値段を自分だけでは決められない |
企業とのコラボは、在庫のリスクを企業の側が持ってくれる代わりに、1個あたりの取り分は小さくなるでしょう。
それでも、自分の名前で商品を出す経験と、どれくらい売れるかの実績が手に入るのは大きいはずです。
まずはコラボや小ロットで「自分のファンが何個買ってくれるか」を確かめ、そのあとで自社ブランドに進む、という順番もあります。
そのかわり、値段も中身も自分では決められない。在庫の軽さと、決められる範囲の広さは、たいてい引きかえになっています。
どこまで背負えるかを先に決めてから、始め方を選ぶのが順番だと思います。
インフルエンサーのブランド立ち上げと在庫を持たない柱の比べ方

最後に、自分のブランドを、ほかの収入の柱と並べて考えてみます。
ブランドは強い出口ですが、誰にとっても最初の一本目に向いているとは限りません。
自社ブランドが向いている人と向かない人
向き不向きを分けるのは、発信の腕より、お金と時間と体制です。
- 向いている:作りたい商品がはっきりしていて、売れ残っても生活が揺れない資金がある
- 向いている:発送や問い合わせを任せられる人や会社がいる
- 向かない(通常ロットで始めるなら):収入が下り坂の途中で、在庫に回せる余裕のお金がない
- 向かない:一度買えば終わりで、リピートが見込みにくい商品しか思いつかない
収入が下がっている時期にブランドを始めると、在庫の重さがそのまま暮らしの重さになりやすいものです。
その場合でも、いきなり通常ロットに進む必要はありません。
予約販売やコラボで初回の数を小さく抑えれば、暮らしへの響きは、かなり小さく抑えられます。在庫を持たない柱と並べて考えるのは、その手を試したあとでも遅くないはずです。
在庫を持たない出口とどう組み合わせるか
在庫を持たない出口にも、それぞれ別の重さがあります。
| 出口 | 在庫 | 弱点 |
|---|---|---|
| アフィリエイト | なし | 値段も中身も決められず、紹介をやめると止まる |
| 会員制・サブスク | なし | 中身を毎月届け続ける運営の負担がある |
| 紹介型(ネットワークビジネス) | 基本なし | 自分のブランドにはならず、商品・値段・報酬の率は会社が決める。自己購入が条件の会社もあり、紹介の話が増えるとファンが離れやすい |
どの出口も、在庫の代わりに、運営の手間や、決められる範囲の狭さを引き受ける形です。
ブランドと組み合わせるなら、「在庫を背負う一本」と「在庫を持たない一本」を分けておくと、どちらかが崩れたときの支えになります。
在庫を持たない代わりに、自分のブランドにはならない。その差は、比べるときにいちばん大事な所だと思います。
だからこそ、何を一番手に入れたいのかを先に決めておくと、選び方がぶれにくくなります。
インフルエンサーのブランド立ち上げについてよくある質問
最初の目安は「原価×最低ロット」に、試作・デザイン・撮影・販売サイトの準備の費用を足した額です。
そこに、売れ残っても暮らしが揺れない分の余裕を足しておくと安心でしょう。
化粧品のように許可が必要な商品なら、許可を持っているか、品質の管理をどうしているかも、比べる材料になります。
同じような規模のブランドを手がけた実績があれば、なお安心です。
ほかにも、ストーリーズのアンケートや、これまでのアフィリエイトやコラボ商品で何個売れたかの実績が、目安になります。
「欲しい」という声の数が、そのまま注文の数になるとは限らない、と見ておくほうが安全です。
ただ、大きな値下げはブランドの印象を崩しやすく、期限のある商品は時間との勝負にもなります。
売れ残りへの手当ては、始める前に「この数を超えたらこうする」と決めておくのがいちばん確かです。
インフルエンサーのブランド立ち上げは在庫を背負える形で始める

インフルエンサーのブランドは、うまく回れば取り分が大きく、発信の積み重ねを商品として残せる出口です。
ただ、お金は売れる前に出ていき、半分売れても元が取れないことがある。
だからこそ、始める前に「何個売れれば元が取れるか」と「どこまでの在庫なら背負えるか」を、自分の数字で決めておくことが欠かせません。
僕自身、6年間、収入が途絶えるたびに次の仕事を探してきました。
だから、「どこで手を引くか」を決めずに始める怖さは、少し分かるつもりです。
ブランドは、始める前に「やめ方」まで決めておく人ほど続く。
原価と最低ロットの見積もりがそろえば、元が取れる数はその場で出せます。その数が、自分のファンが最初の数か月で買ってくれそうな数の内側に収まるか。始めるかどうかは、そこで決まると思います。
その出口に、数字の裏づけを持たせてから踏み出せれば、怖さはずいぶん小さくなるはずです。
ブランドは、一度作れば、売れ残りも評判も自分の名前に残ります。
だからこそ、勢いではなく、背負える大きさで始めるのが確かなのだと思います。
無理な勧誘はしません。聞きたいことだけ聞いて、合わないと感じたら、そのまま離れてもらって大丈夫です。