会社員の友達は厚生年金があるけど、私は国民年金だけ。貯金も、波のある収入の中ではなかなか増えない…。
そんなふうに、発信を仕事にしている自分の老後が、急に心配になっていませんか?
「インフルエンサーの老後、年金だけで暮らせる…?」
「収入に波があっても、貯金や積み立てはできるのかな…?」
「発信の仕事は、何歳まで続けられるんだろう…」
この記事では、インフルエンサーの老後の年金の仕組み、足りない額の考え方、個人事業主が使える積み立ての制度、年を取っても続けやすい収入の形、30代から始める備えの順番までをまとめました。
今回は、年金の仕組みを入り口にして、一つずつほどいていきます。
今回は、インフルエンサーの老後を、年金・貯えと積み立て・続く収入の3つに分けて、30代から打てる手を見ていきます。
この記事を最後まで読めば、自分の老後に足りない額と、それを埋めるために今から始める順番が分かるはずです。
この記事で分かるポイント
- インフルエンサーの年金の仕組みと、足りない額の出し方
- 個人事業主が使える4つの上乗せの制度
- 年を取っても続けやすい収入の形
- 30代から始める老後の備えの順番
インフルエンサーの老後は国民年金だけでは足りない前提で考える

インフルエンサーの多くは、個人事業主として働いています。
その場合、老後の年金の仕組みは、会社員とは大きく違ってきます。
個人事業主の年金は国民年金の1階建て
会社員は、国民年金に加えて厚生年金にも入っているので、年金が2階建てになっています。
一方、個人事業主が入るのは国民年金だけで、自分で何かを足さない限り、1階建てのままです。

会社員だった時期がある人は、その年数分の厚生年金も上乗せされますが、独立してからの年数が長いほど、比重は国民年金に寄っていくでしょう。
満額でも月7万円ほどの額なので、これだけで暮らしていくのは難しいと考えておくほうが現実的でしょう。
60歳まで納めた場合の見込みの額は、日本年金機構の「ねんきんネット」や、厚生労働省の公的年金シミュレーターで出せます。
50歳未満の「ねんきん定期便」には、これまで納めた分で計算した額しか載らないので、満額よりかなり小さく見える点には気をつけてください。
老後に足りない額を仮の数字で出してみる
足りない額は、老後の生活費から年金を引いて、年数をかければ、おおよその形が見えてきます。
持ち家かどうか、どれくらいの暮らしをしたいかで、この額は大きく変わります。
大きな数字に見えますが、これは「何もしなかった場合」の不足です。
埋める手は、年金そのものを増やすこと、積み立てること、65歳以降も少し働くことの組み合わせになります。
厚生年金がなくなる働き方なら、その分だけ、自分で数字を見ておく意味は大きくなると思います。
大事なのは、数字の大きさより、何年かけて埋めるかのほうなんですよね。
インフルエンサーの老後に向けた貯金と積み立ての制度
年金の1階部分に、自分で上乗せをする方法は、個人事業主にもいくつか用意されています。
まずは、その仕組みを並べてみます。
個人事業主が使える4つの上乗せの制度
代表的なのは、次の4つです。
※スマホ画面で横スクロールできます
| 制度 | 中身 | 良い点 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 付加年金 | 国民年金に月400円を上乗せして納める | 30年納めると年金が年7万2,000円増え、納めた分は約2年で取り戻せる計算 | 国民年金基金とは同時に入れない。免除を受けている間は納められない |
| 国民年金基金 | 個人事業主向けの、年金の2階部分 | 掛金が所得から差し引かれる。1口目は必ず一生受け取る型 | 途中で抜けることはできない(掛金を減らすことはできる) |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 自分で掛金を出し、自分で運用する年金 | 掛金が所得から差し引かれ、運用の益にも税がかからない | 原則60歳まで引き出せない。受け取るときは税の対象になり、口座の手数料も毎月かかる。運用しだいで増えることも減ることもある |
| 小規模企業共済 | 個人事業主の退職金づくりの制度(掛金は月1,000〜7万円) | 掛金が所得から差し引かれ、掛金の範囲で借りる仕組みもある | 20年未満でやめると、受け取りが払った掛金より少なくなる場合がある |
出典:国民年金基金連合会/iDeCo公式サイト/中小機構(小規模企業共済)
どの制度も、掛金が所得から差し引かれるので、払う税金が減るという良さがあります。
ただ、どれも「すぐには引き出せない」お金になる点は、共通しています。
iDeCo・国民年金基金・付加年金の保険料は、合わせて月6万8,000円までで、2026年12月分の掛金から月7万5,000円に引き上げられる予定です。
始めるときは、公式の案内で最新の条件を確かめておくと安心でしょう。
収入が上下する人の積み立ては最低の月で決める
インフルエンサーのように収入に波がある人が気をつけたいのは、掛金の決め方。
調子の良い月に合わせて掛金を決めると、少ない月に払えなくなり、やめたくなってしまいます。
しかも国民年金基金のように、途中で抜けられない制度もあります。
掛金は、過去12か月の中でいちばん少なかった月でも、無理なく払える額から始めるのが安全でしょう。
途中で抜けられない制度ほど、いちばん少ない月から額を決めたいと考えるのは、その立場を知っているからです。
引き出せないお金になる、という共通点だけは押さえて、少ない月でも払える額の範囲から選ぶのが、無理のない入り方だと思います。
インフルエンサーが老後まで続けられる収入の形を考える

年金と積み立てに加えて、老後の不足を埋めるもう一つの手が、年を取っても続けやすい収入を持っておくことです。
ただ、発信そのものを老後まで続けられるかというと、そう簡単ではありません。
発信だけで老後まで稼ぎ続けるのは難しい
発信の収入は、流行やプラットフォームの仕組み、見る人の年代の変化に大きく左右されるもの。
年齢を重ねても、発信を続けている人はいます。
同世代のフォロワーと一緒に年を重ねる発信は、残りえます。
ただ、PR案件の数や単価で今と同じ収入を60代まで保つのは、別の話として見ておいたほうが確かでしょう。
年を取っても続けやすい収入の柱と弱点
年齢を重ねても続けやすいかという目で、収入の柱を並べると、次のようになります。
| 柱 | 年を取っても続けやすいか | 弱点 |
|---|---|---|
| 講師・専門家 | 知識と経験が増えるほど強くなる | 受講する人を毎回自分で集める必要がある |
| 自分の商品 | リピートの客がつけば続く | 在庫と運営の手間は、年を取っても自分にかかる |
| 会社員として働く | 厚生年金に入れ、老後の年金も増える | 働く時間と場所が決まり、定年もある |
| 紹介型(ネットワークビジネス) | 愛用者の購入が続けば一部は残るが、会社の報酬の決まりと存続しだい | 紹介した人が辞めれば減り、60代でも人の相談に乗り続ける手間がある。発信者には「ネットワークビジネスの人」と見られる信用の重さもある |
どの柱にも、年を取ってから重くなる部分があります。
一つに頼るより、年金と積み立てと、こうした柱のどれかを組み合わせておくほうが、どこかが崩れたときにも支えが残るはずです。
- 講師・専門家:人前で話す・教えることを、60代になってまで続けたくない人
- 自分の商品:在庫や発送の手間を、60代以降は手放したい人
- 会社員:通勤や勤務時間の決まりに、もう一度合わせるのがつらい人
- 紹介型:60代以降は人と会う手間を減らしたい人、ファンとの関係を発信の外に持ち出したくない人、今の収入の落ち込みをすぐに埋めたい人
それでも老後の柱として見るなら、会社の方針で報酬の形が変わりうることと、年を重ねても人と会い続ける手間は外せない弱点です。年金や積み立ての代わりにはならず、組み合わせる一つだと考えています。
今の自分ではなく、65歳の自分が続けられるかで見てみてください。
インフルエンサーの老後の備えを30代から始める順番

年金、積み立て、続く収入と並べてきましたが、一度に全部を始める必要はありません。
大事なのは、順番を間違えないことです。
まず手元の貯えと翌年の税金を先に分ける
老後の積み立てより先に整えたいのは、今の暮らしを守るお金です。
- 生活費の数か月分の貯え(少ない月や急な休みに備える)
- 翌年の住民税・保険料・所得税の分(前年の所得で決まる支払い)
- 国民年金の保険料を、まずは切らさずに納める
- そのうえで、上乗せの制度や続く収入に回す
1と2がないまま老後の積み立てを始めると、少ない月に積み立てを止めることになり、引き出せないお金だけが残って苦しくなります。
3つ目の国民年金は、地味ですが、すべての土台になる部分。
払うのが苦しい時期は、未納のままにせず、免除や猶予の手続きをしておくことです。
全額免除の期間も年金額には半分が反映され、猶予は額には反映されませんが、どちらも受け取る資格の期間には数えられます。出産の前後には、4か月分の保険料が免除されて納めた扱いになる仕組みもあります。
老後の積み立ては少ない額で長く続ける
老後の積み立ては、額の大きさより、続ける年数のほうが効いてきます。
運用する制度を使えば、結果によって増えることも減ることもありますが、まずは「払い続けられる額」を決めることが先です。
受け取りを70歳に遅らせる手は、その5年間を働いた収入で暮らせる人ほど効くもので、90歳までで見ると増えるのは300万円ほどです。残りをどう埋めるかは、老後の生活費の見込みと、何歳まで働くかで大きく変わります。生活費を月15万円で見込めば、不足は8万円×12か月×25年で2,400万円まで下がります。
収入が伸びた年に、少しずつ額を上げていけば十分です。
額の見直しは、毎年の確定申告のあとにする、と決めておくと、上げ下げの判断がしやすくなります。
30代のうちに始めておけば、40代、50代で慌てて大きな額を積む必要がなくなるでしょう。
給料が毎月決まっていてもそうだったので、波のある収入なら、なおさら先に別の口座へ移す形がないと残りにくいと思います。
ただ、始めた年から「不足が少しずつ減っていく」状態には入れます。
インフルエンサーの老後と年金・貯金についてよくある質問
納めていない期間があれば、その分だけ減り、会社員だった期間があれば、その分の厚生年金が上乗せされます。
60歳まで納めた場合の見込みは、ねんきんネットや公的年金シミュレーターで出せます。
免除や猶予を受けていた期間なら、10年以内であれば、あとから納める「追納」ができます。
全額免除の期間も年金額には半分が反映されますが、免除の間は(出産前後の免除を除き)、付加年金・国民年金基金・iDeCoに掛けられない点には注意が要ります。手続きをしていない未納も、過去2年分までなら納められます。
国民年金基金と付加年金からは外れ、iDeCoの上限も変わります。そのかわり、会社の負担分を含めた保険料も払うことになるので、手元に残るお金とのつり合いを考える必要があります。
決める前に税理士に試算を頼むと、損得の分かれ目が見えてきます。
まずは自分の生活費で不足額を出し、それを年金の上乗せ、貯え、続く収入でどう分けて埋めるかを考えるほうが、具体的な額が見えてきます。
インフルエンサーの老後は年金と貯金と続く収入の三つで備える

個人事業主として働くインフルエンサーの年金は、基本的に国民年金だけで、満額でも月7万円ほどです。
仮の例では、何もしなければ老後に約3,900万円が足りない計算になり、それを年金を増やす手、積み立て、年を取っても続けやすい収入の組み合わせで埋めていくことになります。
手を止めたら食べられない働き方を長く続けてきたので、老後に手を止めたときのことは、人一倍気になります。
その気がかりを、数字と順番に置きかえておくことが、いちばんの備えなのだと思います。
老後の不安は、足りない額が分かった時点で、計画に変わる。
ねんきんネットの見込額と自分の生活費を並べるところから、老後の備えは始まります。
先が長いぶん、少しの額でも、続けた年数がそのまま力になります。
年金の仕組みと不足額が分かれば、何にいくら回すかは、自分で決められます。
決めた分を淡々と続けていくことが、発信を仕事にしている人の、いちばん確かな老後の備えになるはずです。
無理な勧誘はしません。聞きたいことだけ聞いて、合わないと感じたら、そのまま離れてもらって大丈夫です。